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染色堅ろう度試験

耐光

光を一定時間照射した後の色の変化を測定します。

洗濯

洗濯の際に、生地の染料が溶け出して色褪せたり、洗液が他の洗濯物を汚染させる恐れがないかどうかを測定します。

汗による生地の変退色と他の衣料に移染する程度を測定します。

摩擦

着用中の摩擦によって、重ね着のブラウスや下着などに色移りするかどうかを測定します。

ドライクリーニング

ドライクリーニングによる変退色と他の洗濯物への汚染の度合いを測定します。

色泣き

捺染柄などの染色物から染料が地にしみ出すかどうかを測定します。

その他

  • 酸化窒素ガス
  • 貯蔵中昇華

耐光堅ろう度試験

概要

 「耐光堅ろう度試験」とは、光の作用による色の変化の程度(変退色)を評価するための試験です。
 光には、色褪せを引き起こす作用があります。 引っ越しなどで、タンスを動かした後の畳の色を見て「元はこんな色だったのか」と驚かれた経験はありませんか?これはいわゆる日焼けです。

光源

 試験では、人工的な光を使用します。
 繰り返し同じ条件となる光が、太陽の光ではなかなか得られないのです。晴れた日と、雨が降った日では明るさが違います。それでは、光の作用の程度が変わってしまい、光の条件が一定に保てません。また、日本には四季があり夏場と冬場では太陽のまぶしさが違います。ということは、地面にとどく光の作用も違うのです。
 これらの問題は、人工的な光源を使用することで解決でき、一定の条件で試験が行えるのです。

ブルースケール

 耐光堅ろう度試験において光をあてる時間(照射時間)を決めるために使用する標準物です。
 耐光堅ろう度試験には試験方法が5種類ありますが、試験することの多い試験方法(第三露光法)では、ブルースケールが標準退色する時間を確認し、その時間を設定時間として試験機を運転します。
 標準退色とは、光をあてた照射部分と未照射部分の色の差が、変退色用グレースケールの4号に相当する状態です。ブルースケールは1級から8級まであり、数値が大きいほど光に対する抵抗性が強く、標準退色するのに必要な時間が長くなります。使用頻度の高いのは3級と4級のブルースケールです。
 「ブルースケールの光照射による変退色が、変退色用グレースケール4号に相当する時間」が標準退色時間となります(ブルースケールの級数毎に標準退色時間があります)。

光の照射

 実際の試験では、ブルースケールと生地を一緒に光にあてます。
 ブルースケールと生地をそれぞれ部分的に厚紙等で隠して、光にあたらない部分と光にあたる部分を作ります。そしてブルースケールが標準退色する時間(例えば、3級照射で約6時間)試験機を運転して光をあてます。試験機が止まり、しばらくしてから、ブルースケールの色の変化(下図のA)と生地の色の変化(下図のB)を比べます。例えば、ブルースケール(3級)と生地を比較した場合、試験結果は

  • AよりBが小さいとき"3級以上"
  • AとBが同程度のとき"3級"
  • AよりBが大きいとき"3級未満"

A:ブルースケールの光のあたった事による色の変化の程度、B:生地の光のあたった事による色の変化の程度

となります(耐光堅ろう度の判定はちょっと特殊です)。

洗濯堅ろう度試験

概要

 「洗濯堅ろう度試験」とは、家庭での洗濯の作用による「色の変化の程度(変退色)」と「他の洗濯物への色移りの程度(汚染)」を評価するための試験です。

 衣料品には、赤色、青色、黒色など様々な色に染められたものが多くあります。これらは通常、"染料"によって色をつけています。染料には染色条件という色をつけるための条件(例えば、80℃で30分染液に浸けるなど)があるのですが、この条件の調節がうまくいかなかった場合には染まりが悪くなることがあります。ムラに染まることや思っていたよりも濃い色や薄い色に染まることもあるかもしれません。そして、染まりが悪いと衣料品を濡らすことにより色が出てくる危険があります。

 洗濯することにより「何だか色あせたような気がする」とか、「ムラになってしまった」といった経験はありませんか?これらは、洗濯することにより衣料品に染まっている染料が衣料品から洗濯液に出てきてしまうからです。
衣料品についていた染料が洗濯して少なくなってしまえば当然色あせたように見えますし(例1)、赤色と青色の染料を合わせて紫色に染めた場合、赤色の染料が出て行ってしまうと青色が強くなり青色っぽく見えることがあります(例2)。また衣料品から洗濯液に出て行った染料が洗濯の際に一緒に洗った他の洗濯物にくっついてしまい、色移り(汚染)してしまう危険もあります(例3)。

 そんな危険を事前に察知できるのが、「洗濯堅ろう度試験」です。

例1
例2
例3

試験条件と機器

 さて、試験の条件ですがこれには数種類あります。一般に試験することの多い条件が、

  • 洗濯液:0.5%せっけん液
  • 洗濯温度:50℃
  • 洗濯時間:30分

というものです。

 "洗濯"の堅ろう度ですが、家庭で使用されている洗濯機を使用するのではありません。専用の試験機器を使用します。この試験機器には、洗濯をしている間、設定した洗濯温度を維持できる加熱装置がついています。これにより、夏冬問わず同じ条件で試験ができるのです。

 試験機が止まったら、複合試験片を取り出してすすぎます。乾燥させた後、「判定」をすることにより堅ろう度の数値を決めます。例えば、「変退色:5級」「汚染:4級」というようなものが洗濯堅ろう度の試験結果となります。

試験瓶
洗濯堅ろう度試験機(運転中)

汗堅ろう度試験

概要

 「汗堅ろう度試験」とは、汗の作用による「色の変化の程度(変退色)」と「重ね着した他のシャツなどへの色移りの程度(汚染)」を評価するものです。

 人間の汗には様々な成分が含まれています。それらの成分と体温の熱等の作用により、染色された衣料品の色が変わったり下着などに色移りすることがあります。
 特にゴルフやテニスなどのスポーツをされた際に、脇の下などにベットリと汗をかいてしまい、プレイ後にシャツを脱いでみると下着に色がついてしまったような経験はありませんか?これは、汗の作用によりシャツの色が下着に移ってしまったからです。

人工汗液

 人間の汗は個人差が大きく、また同じ人でも食事内容や体調などにより汗が変わってきます。試験の都度、人間から汗を集めるわけにもいきませんし、"人間の汗"の標準というものは定めにくいのが現状です。そこで試験では、人工的に汗の液を作ります。人工的に作った汗の液を「人工汗液」と呼びます。人工汗液には2種類あります。一つは酸性の人工汗液(pH:5.5)、もう一つはアルカリ性の人工汗液(pH:8.0)です。

 pHは"ペーハー"または"ピーエイチ"と読みます。pHは化学の用語で、酸性やアルカリ性の程度を示すものです。"弱酸性"のボディソープ、"弱アルカリ性"の洗剤、"酸性雨"による環境問題などは耳にされたこともあるかと思います。通常pH7が中性で、pHは小さいほど酸性を示し大きいほどアルカリ性を示します。理科の実験で、リトマス試験紙の青色が赤色になったり赤色が青色になるのもpHの変化によるものです。

試験操作

  1. 試料に2種類の添付白布を取り付けて「複合試験片」を作ります。複合試験片は酸性の試験用と、アルカリ性の試験用とをそれぞれ用意します。
  2. 酸性の人工汗液、アルカリ性の人工汗液をそれぞれ作ります。それぞれの人工汗液に、複合試験片を浸します。
  3. ときどき複合試験片を押しつけて、人工汗液を複合試験片にしみこませます。
  4. 30分たったら取り出して、プラスチック板と複合試験片をサンドイッチのように交互に挟み込んで荷重を加え「汗試験機」に取り付けます。汗試験機にはネジが付いており、加えた荷重が保たれます。これを温度37度で4時間、乾燥機に入れます。
1. 人工汗液に浸します(酸性およびアルカリ性)。
2. 板に挟んで積み重ねます。
3. 荷重をかけて、その荷重を保持します。
4. 乾燥機中で熱処理します(37℃で4時間)。

 この後、複合試験片を一枚ずつ取り出して乾燥させます。乾燥させた後、「判定」をすることにより堅ろう度の数値を決めます。
 例えば、「汗堅ろう度 酸性試験 変退色:5級、汚染:4-5級」、「汗堅ろう度 アルカリ性試験 変退色:5級、汚染:4級」というようなものが汗堅ろう度の試験結果となります。

摩擦堅ろう度試験

概要

 「摩擦堅ろう度試験」は、重ね着などの衣料品同士のすれ作用による「他への色移りの程度(汚染)」を評価するものです。堅ろう度には「変退色」と「汚染」という二つの概念があり、堅ろう度の項目によって「変退色」のみを試験結果とするものと「汚染」のみを試験結果とするものとがあります。摩擦堅ろう度試験は「汚染」のみを試験結果とするものです。

 紺色のジーンズと白色のシャツを着ていたら、シャツの裾周辺に紺色の擦れたような色移りを経験されたことはありませんか?これは着用の際の、ジーンズとシャツとの摩擦作用により、ジーンズ(紺色)からシャツ(白色)へ色が移ってしまったからです。衣類同士が擦れる部位に発生しやすい事故です。そんな危険を事前に察知できるのが摩擦堅ろう度試験です。

試験方法

 摩擦堅ろう度試験には二種類の試験があります。一つは「乾燥試験」、もう一つは「湿潤試験」です。
 摩擦試験機にはテーブルがあり、生地をこのテーブルに、乾燥した綿布を摩擦試験機上部のアーム先端(摩擦子:まさつし)に取り付けます。

 「乾燥試験」は、生地を乾燥した綿布で摩擦します。摩擦するには「摩擦試験機」を使用します。この試験機には2種類の形式がありますが、通常は「Ⅱ形」(にがた)、別名「学振形」を使用します。
 約200gの荷重で100mmの長さを100回往復摩擦します。摩擦が終わったら綿布を試験機から取り外して、汚染用のグレースケールを使用して「汚染」の判定をすることにより堅ろう度の数値を決めます。

 「湿潤試験」では濡らした綿布を使用します。濡らす程度によって試験結果が大きく変わりますので、濡らす程度(約100%の湿潤状態)もJIS規格で定められています。
 新たにテーブルに生地を取り付けます。そして摩擦子に湿潤させた綿布を取り付け、乾燥試験の場合と同様に摩擦します。摩擦が終わったら試験機から取り外して、綿布を乾燥します。乾燥したら汚染用のグレースケールを使用して「汚染」の判定をすることにより堅ろう度の数値を決めます。

1. 細長い試料を試験機に取り付けます。
2. 摩擦子に綿布を取り付けます。
3. 細長い試料を長辺方向に10cm、綿布が往復して摩擦します。
4. 細長い試料を長辺方向に10cm、綿布が往復して摩擦します。
5. 試験後の綿布(中央が擦られた部位)。

 一般に、摩擦堅ろう度試験の結果は乾燥試験より湿潤試験の方が低い級数となることが多いのですが、まれに乾燥試験より湿潤試験の方が高い級数となることがあります。これは、湿潤させた綿布の水分により、生地表面が滑りやすくなるからだともいわれています(級数が低い=色移りしやすい)。
 例えば、「摩擦堅ろう度 乾燥試験 汚染:4級」「摩擦堅ろう度 湿潤試験 汚染:3級」というようなものが摩擦堅ろう度の試験結果となります("汚染"を省略して「乾燥試験:4級、湿潤試験:3級」とする場合もあります)。

ドライクリーニング堅ろう度試験

概要

 「ドライクリーニング堅ろう度試験」とは、ドライクリーニングの作用による「色の変化の程度(変退色)」と「他のクリーニング物への色移りの程度(汚染)」を評価するものです。

 家庭で洗濯をされるような「水洗い」では、水に洗剤を加えて洗濯液として洗濯します。これに対してドライクリーニングでは、溶剤に洗剤(界面活性剤)と水分を加えた試験液(クリーニング液)を使用します。溶剤には「パークロロエチレン」というものと「石油系」というものがあります。
 ドライクリーニングにより茶色のコートが緑色に変色してしまったことはありませんか?これは、ドライクリーニングにより衣料品の色素がクリーニング液に出て行ってしまったからです。

 そんな危険を事前に察知できるのが、ドライクリーニング堅ろう度試験です。

試験方法

 切り出した生地に白色の布「添付白布」を取り付けて「複合試験片」を作ります。そして、この「複合試験片」をクリーニング液の入った試験瓶に入れて、試験を行います。

 クリーニング液は溶剤に、洗剤(界面活性剤)と水を加えて作ります(※クリーニング液の溶剤は「パークロロエチレン」を用いることが一般的でした。2008年の試験規格の改訂では、溶剤の種類は「パークロロエチレン」又は「石油系溶剤」となりました。それぞれの溶剤に対して、洗剤と水を加える条件、洗剤も水も加えない条件があります)。

 試験機が止まったら、複合試験片を取り出してすすぎます。乾燥させた後、「判定」をすることにより堅ろう度の数値を決めます。例えば、「変退色:5級」「汚染:4級」というようなものが洗濯堅ろう度の試験結果となります。

 試験機は、洗濯堅ろう度試験の場合と同様に専用の試験機器を使用します。この試験機器には、設定した温度の維持が出来る加熱装置がついています。試験温度は40度、処理時間は30分という条件で試験機を運転します(2008年版では試験温度は30度です)。

試験瓶
堅ろう度試験機(運転中)

 試験機が止まったら、複合試験片を取り出してすすぎます。すすぎの処理には、洗剤や水を加えていない溶剤を使用します。
 乾燥させた後、「判定」をすることにより堅ろう度の数値を決めます。例えば、「変退色:5級」、「汚染:4級」というようなものがドライクリーニング堅ろう度の試験結果となります。

色泣き試験

概要

 「色泣き試験」とは、「濡れた状態での染料の移動による汚染の程度」を評価するものです。

 黒色と白色の縞柄、赤色生地に白色の水玉柄のような異色濃淡の組み合わせ製品は、洗濯処理などで濡れた状態では、濃色部分などから染料が移動し、製品の白色部分や淡色部分などを汚染(移染)する可能性があります。
 衿が紺色、本体が白色のポロシャツを家庭で洗濯したら、衿付近の本体に紺色のにじみが生じたといったような経験されたことはありませんか?これは、紺色部分(衿部分)の染料が、洗濯処理で湿った状態にあったため、白色部分(本体)へ移動してしまったからです。この現象を"色"が"泣く"という意味で、「色泣き」と言います。

 そんな危険を事前に察知できるのが、「色泣き」試験です。

試験方法

 一般に、色泣き現象は濃色部分から淡色部分に向かうものが目立ちます(淡色部分から濃色部分へは、色が泣いても目立ちません)。試験試料の作成は、縞柄などの柄物の場合と無地物の場合とでは異なります。

柄物の場合は、その柄部分を使用します。

  1. 例えば縞柄の場合、縞が横方向になるように切り出し吊します。また、プリントの場合は色泣きすると思われる部位の一部を下端として切り出し吊します。
  2. 容器に希薄な界面活性剤(洗剤)の液を入れておき、試験片の下端(試料側)を浸します。液が試料を通じて試験片の下端から上方向へと吸い上げられていきますが、その際に染色部分に残っている余分な染料などを一緒に吸い上げます。
  3. そして、一定時間(例えば2時間)で液から引き上げます。すると液が試験片の途中まで吸い上げられた状態となり、乾燥すると"キワツキ"となります。この"キワツキ"部分の汚染の度合いを、汚染用のグレースケールで判定します。

無地物の場合は、生地を自動車運転免許証の顔写真くらいの大きさに切り出します。

  1. 別に細長い綿布を用意し、縦長の状態で、試料と綿布の一部を重ねて縫い合わせます。縫い合わせた試験片の生地が下側、綿布が上側になるように吊します。
  2. そして柄物の場合と同様に、容器に希薄な界面活性剤の液を入れておき、試験片の下端を浸し一定時間で液から引き上げ乾燥させ、"キワツキ"部分の汚染の度合いを、汚染用のグレースケールで判定します。
試料が柄物の場合
試料が無地の場合

例えば、

  • 汚染の度合いに応じて言葉で表した「色泣き試験あり」、「色泣き試験なし」
  • 具体的な汚染の級数で表した「色泣き試験 汚染5級」、「色泣き試験 汚染3級」

というようなものが色泣き試験の結果となります。
 言葉で表した「色泣きあり」の場合ですと、どの程度の色泣きが(汚染が)生じたのかが不明瞭であるためか、具体的な級数が必要になる場合もあります。

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